2010年06月04日

短期集中連載・42(後篇)

短期集中連載・42(後篇)

毎日暑い日が続いて、ようやっと初夏っぽくなってきましたね(汗
今日も快晴?と思いきや、関東は午後から雨の予報だそうで・・・・・

え?上の「なあなあな写真」は何の記念写真かって?
こ、このお話はまた腕が治ったらっちゅうことで、【後篇・41】をご覧ください(・∀・;)


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その日、私とサザビーは車で横浜新道を走っていました。
外は快晴、絶好のお散歩日和です。
何処かへ行くという期待感からか、元々ドライブ好きなサザビーは、
家を出た瞬間から車内ではしゃぎっぱなしです。

『びっこ、あんまりはしゃぐと向こうに着くまでに疲れちゃうってば!』

彼女は『エヘヘ〜♪』と笑顔のまま、私とステアリングの間に座って、
全く落ち着く気配を見せません(汗)。
私の言葉なんて、全く耳に入らない様子で、外の景色を眺めながら、
時々振り向いては、嬉しそうに『きゃん♪』と吠えるのです・・・


きっと何処に向かっているのか、お見通しなんだね


千葉から都内を抜けて、神奈川に向かったとあれば行先は一つです。
そう、私達の向かった先は・・・


K ち ゃ ん と ア メ リ が 待 つ 辻 堂 海 岸 ・ ・ ・







『やっほ〜サザビー、久し振り〜♪』

サザビーは車から降りると、砂浜に近い場所に立つKを見つけて、飛び出して行きました。
すぐに彼女の背後からアメリもやってきて、お互いにじゃれ合います。

さすが、幼馴染だね・・・

本来、サザビーは他のワンちゃん達と、あまりじゃれ合ったり遊んだりしないのですが、アメリだけは別でした。
幼い頃から一緒に遊ばせたせいでしょうか、びっこはアメリが大好きだったのです。

K『サザビー、また大きくなったんじゃない?』

砂浜を走り回る2頭を見ながら、Kが言いました。

私『うん、最近キャッチボールを良くやるし、良く食べるから(汗)』

罰が悪そうに答える私・・・

K『ドッグショーはどうするの?あまり大きいと・・・』

私『ショーは辞めたの・・・』

言葉を遮られた彼女は、じゃれ合う2頭を眺める私に視線を向けます。

K『何でよ?この前、デビューしたばかりでしょ?まだ2、3回しか出陳してないじゃない?』

私は黙ったまま小刻みに頷きます・・・

K『例のジャッジの手を噛んだ、あれが原因?』

今度は首を左右に振りながら答えました。

私『そのたった2、3回のために、どれほどの時間を費やして、
 どれほどの笑顔を奪っていたかが解ったのよ・・・』



ザ ザ ア ・ ・ ・


大きな波音が2人会話を打ち消します。

もう、いいの、いいのよ・・・
もう、押し付けはやめたの


危なく、またマリアの二の舞になるところだったの










マ ク セ ・ ・ ・ !


N   O   〜   !




キ  キ  キ  キ  ィ  ー  ー  ー  ー  !





暗い車道に飛び出したアンドロマクセを四駆が飲み込んだの。
一瞬だった。
ほんの一瞬で、全てが終わっちゃうところだったの。
それも私の我儘で、ね・・・

病院で震える私の前に差し出された、彼女が咥えていた煙草の吸殻・・・
それを手に取った時、涙が止まらなかった・・・


同じ事してる
私って全然変っていない
こんなんじゃ親なんかになれるわけない
こんなんじゃまた子供が不幸になるだけだ



その時、思ったの・・・
もう怒ったり、喚いたり、周りに辛くあたる自分を封印しなくちゃって。
自分を殺してでも、なるべく彼女の意思を尊重しようって。
極端に聞こえるかもしれないけれど、私みたいな女は、
そこまで徹底しないと、中々変わることなんかできないんだ・・・



K『あなたらしいけど一応無事だったんだから、そこまで自分を追い詰めることは止めなきゃ・・・』




ザ ザ ザ ア ・ ・ ・




無事だった・・・?
うん、確かに無事だったよ
でもね、でも・・・



無 事 じ ゃ な い 時 も あ っ た の !



口は噤んだままだった。
言えなかったから・・・

今は、まだ彼女に本当のことを何一つ話せない自分がいました。










砂浜でじゃれ合うアメリとサザビーに、Kがボールを見せました。

K『いい?行くよ〜』

2頭は『待ってました!』とばかりに身体を寄り添えながらも、スタートする態勢をとります。

私『無理じゃない?体格差がありすぎ・・・』

私がそう言った瞬間、彼女はボールを高く上に放り投げました。
澄み切った青い空に白いボールが吸い込まれていくようで・・・

アメリとサザビーは上空を見上げながら、フットワークを使い落下地点を見極めます。
落ちてくるボールにいち早く反応したのは、やはりアメリです。
漆黒の輝く身体をひねるように宙に飛んでボールを見事にキャッチ・・・


キャッチ・・・出来ない?(汗)


アメリはボールを咥えそこない砂浜に落としてしまいました。
それを待っていたかのようにサザビーがボールを掻っ攫います(汗)。


う そ 〜 ! ?


勝ち誇ったフットワークでボールを咥えてきたのはサザビー・・・
アメリは落とした場所を相変わらず探しています。

K『アメリ、ボール好きなんだけど、キャッチが何故か下手なんだよね(汗)』

口をへの字に曲げて私の方をチラっと見つめるK・・・
その言葉と表情に『ぷっw』と噴き出す私(笑)。

あんな綺麗な身体で、格好良くジャンプしたのに、キャッチが下手だなんてw


可 愛 い 、 ア メ リ ☆ ☆ ☆


真剣に波打ち際を歩き、未だ視界に入らないボールを探しているアメリ・・・
Kは彼女の下に走り寄って行きました。

K『ボール、もうサザビーが持ってきちゃったよお〜!』

そんな2人の姿を前に、私の足元でボールを咥えているサザビー。
軽く首を傾げて何だか不思議そうです(笑)。

びっこ、アメリにボールを返しに行こう?

砂で汚れた口元を指で掃ってあげると、彼女は『エヘヘ♪』と笑顔になりました。

ジーンズを膝まで捲くった私は、サザビーと一緒にアメリの下へ走り出します。
Kとアメリは波に濡れながら、じゃれ合っていました。
いつしか私達も海に足まで浸かって、波を手ですくって互いにかけあいます。

太陽光に照らされて、水平線の方までキラキラと波が光っていました。



ジャブジャブと海に入った私は、辛い過去を忘れようとしていたのかもしれません。
一人じゃとても無理だったから、Kの力を借りたかったのかもしれません。
おどけた表情で吠えたり、笑ったりする私達の娘に、変わりの何かを求めていたのかもしれません。

どんな気持ちだったか、今は思い出せないけれど、たった一つ言えることは・・・




楽 し か っ た ・ ・ ・

楽 し く て 幸 せ だ っ た の





犬はさ、正直なんだよ・・・
飼い主が辛そうにしていると一緒になって、苦しんでくれるの・・・
そして慰めてくれるんだ・・・


だから私はアメリが好きなの・・・






Kちゃん、そう言ったよね?

Kちゃん、そう言ったでしょ?

だから私もサザビーに『何か』を求めたんだ・・・




こんな小さな小型犬に、
こんな波打ち際でおどけて、
びしょびしょになっちゃうワンコに、




私 は マ リ ア を 求 め て い た の ・ ・ ・




海風が運んでくる潮の香りは、いつも私を切なくさせる。
幸せな想い出を、悲しい過去の記憶に変えてしまうから・・・

あの日だって
この日だって
本当は幸せだったのよ

何も起こらなければ、素敵な想い出として
素敵な人生の一ページとして記憶されるはずだったのよ




でも潮風は、いつも私に不安を運んでくるの・・・









幸 せ ー ー ー ー ー ー !


近くの公園の芝生で寝転がった私は、夕暮れに染まった空を見つめて叫んだの・・・
そんな私の姿を見て『クスッ』と苦笑するK。

私『何かおかしい?』

上半身だけを起こして、アメリと一緒に腰を下ろした彼女に言います。
Kとアメリは夕日に照らされて、赤いフィルターが掛かったセピアカラーのようでした。

K『また一緒に同じ風景がみれたじゃん・・・』

ポツリと呟いた一言は、私の心を穏やかにさせてくれました。
そう、私達は幼馴染でした・・・
ずっとずっと昔から、いつも一緒だった大親友でした。

イタリアから戻ったボロボロの私を見捨てずに、
今日まで励ましてくれたのも、家族じゃなくてKでした。


ここは『あの日』の五老岳だけじゃないけれど、
美しかった舞鶴の夜景と海も見えないけれど・・・


あ の 日 と 一 緒 だ っ た

あ の 日 と 同 じ 温 も り を 感 じ た の



再び仰向けになった隣で、Kも芝生の上に横たわりました。
私の右手は、いつしか彼女の左手を握っています。
彼女も『ギュッ』と強く握り返してくれました。


この手・・・

離さないでね・・・



言葉にはしなかったけれど、心の中で呟いたの。
彼女は私にとって、たった一人の信頼できる家族だったから・・・


いつか話さなくちゃいけない。
私が異国で暮らした数年間のこと・・・
そして娘・マリアのこと・・・

でもKちゃんなら、わかってくれる。
だから、その時まで、もうちょっと時間をください。


遠くに見える夕焼けは、真っ赤で美しかったの・・・
たぶん、あの夏の日もこんな感じだったんだ・・・
海の帰りに、こんな風に芝生の上で寝そべって、
楽しかったね』って
また来ようね』って
笑いながら、2人で話すはずだったの・・・

横たわる私の瞳から、一筋の涙が頬を伝わっていきました。


やばい・・・
身体が震えちゃう・・・
思い出しちゃう・・・
苦しくなっちゃう・・・



こんな幸せな皆の前で、私、おかしくなっちゃう・・・?



いやだ

あんな醜態、晒せない

晒したくない・・・

アメリやサザビーに見せたくな・・・






だ い じ ょ う ぶ ?






顔を抑えた両手の隙間から、サザビーが覗き込んでいる姿が見えたの。
恐る恐る震えの残る手を外すと、彼女は私の頬の涙を『ぺロッ』って舐めてくれました。

その時ね、不思議と涙が止まって、
不安や苦痛に渦巻く心が収束して、
次第に落ち着いていったんです。






犬はさ、正直なんだよ・・・
飼い主が辛そうにしていると一緒になって、苦しんでくれるの・・・
そして慰めてくれるんだ・・・


だから私はサザビーが好きなの・・・



今握っているこの手と、あなた達がいてくれれば、私は立ち直れる。
ううん、この幸せに導いてくれたあなた達の為に、私は立ち直るから・・・


約 束 す る か ら ・ ・ ・










Kちゃんはさ、私の幼馴染なんだよ

そして、その娘がアメリ・・・

びっこ、あなたの幼馴染なの

私達って凄くない?

こんな幸せな関係が作れたんだからさ☆☆☆





そう思ってたの・・・
本当に心の底からそう思っていたの・・・

異国で娘を失ってから、暗闇を彷徨っていた私に、
ようやく一筋の光が見えて、
それが今、現実に家族と呼べる形となって
目の前に存在するんだから・・・


私 の 愛 し い 家 族 ・ ・ ・


ひょっとしたら、この時が私の人生の中で幸せの絶頂だったのかもしれない。
だって、こんな時間が永遠に続きますようにって、祈ってたんだから・・・







イ エ ス 様 

人 間 は 愚 か で す







でも、あなたはそんな罪深い人間を許すのでしょう?

だから、私も彼女を・・・

Kちゃんを許したんだよ・・・












この日がアメリと遊んだ最後の日になりました・・・






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この記事へのコメント
???

(^^)

毎日、ご苦労様です♪
おかげんは、どうですか?

まだ、なかなかですよね・・・

(・・;)
Posted by SA at 2010年06月04日 11:35
ここからあの日の日記に続くのですね・・・

Kさん、Ayaさん、びっこタン、そしてアメリちゃん。
それぞれの思いを考えると、切ないです。

今ごろはAyaさんに鍛えられて、
アメリちゃんもすっかりキャッチが上手になっているかもしれませんね。
Posted by のせ at 2010年06月04日 13:42
人にはそれぞれいろんな事情があって、まったく見ず知らずの他人がそのことにとやかく言う資格はないと思います。

それでもアメリは幸せだったと思いたいし、きっとそうだったんでしょう。

とてもとても切ないけれど・・・・。
Posted by joy-stone at 2010年06月04日 17:30
ワンコが人間に与えてくれる愛を知っていたKさん。

なのになぜ?

私はKさんを許せません。
Posted by フッフールママ at 2010年06月04日 18:24
久しぶりに見れたぁ〜(;∀;)
ブログを読んでても、仕組みがよくわからなくて、もうこの先ずっと読めないのかと思ってました・・・

そしていつか読んだあの記事の前の記事なんですねぇ

胸がぎゅうっと締め付けられます・・・
Posted by 灯伽 at 2010年06月04日 19:08
・・・とても…とても切ないです。。。

Posted by そらパピ at 2010年06月04日 19:13
人には色んな事情があってそれを他人がとやかく
言う権利がない事は良く分かっているし、後に
AYAさんと和解したのは良かったと思うけど
やっぱりKさんが出てくる度に胸が苦しくなります。
責めて里親を見付けて欲しかった!



Posted by なお at 2010年06月04日 19:21
この後のアメリの事を考えると辛いです(泣)
Posted by みるくママ at 2010年06月04日 19:24
先を知っているだけに、胸が苦しくなります

びっこちゃんの走る姿を想像し、ギュッとしに行きたくなりました
Posted by 華と鈴のママ at 2010年06月04日 20:38
アメリちゃん…
そっか…

悲しい。
Posted by れぃ at 2010年06月04日 20:53
KさんがAyaさんの友達でなければ、Ayaさんは先生とお話もしてないしびっこちゃんとも会っていない。アメリちゃんのことはどうしてと思いながらも、Kさんばかりを私は責めたくありません。
だって、Ayaさんの過去の失敗も許せるもの…
Posted by まぃ at 2010年06月04日 21:02
アメリの話題は胸がしめつけられます。
アメリ、どんな気持ちで虹の橋を渡ったんだろう。
Posted by puchi at 2010年06月05日 00:23
私はいつか、里親になることが夢です
Posted by Ash★Megu at 2010年06月05日 01:08
アメリ‥きっと今はAyaさんと一緒にいますね

虹の橋のその先で、幸せに過ごしてますよね
Posted by 白ネコ at 2010年06月05日 02:28
アメリちゃんの記事を忘れることはないでしょう。
それだけ残酷なことが書き記されているのですから。

どんなな気持ちで死んでいったのか考えるだけで辛いです。
Posted by ゆり at 2010年06月05日 15:41
 
短期集中連載・41(後篇)おやすみします