2010年06月03日

短期集中連載・41(後篇)

短期集中連載・41(後篇)

心配してくれた読者の皆様、ありがとうございます。
とりまえず、こちらの連載はコピー&ペーストだけですので腕はさほど痛みません(汗
(時系列をまとめるのが面どいだけですww)

ちゅうこって、宜しくお願いします★☆★


更新、遅れちゃって、すみません(汗
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初めて飼った犬との生活は、想像以上に大変でした。
それまでの猫とは違い、散歩に連れて行ったりお風呂に入れたり
気が付く度にコームで毛づくろいをしなければならなかったからです・・・

けれどアンドロマクセは非常に良い子でした。
お風呂も好きだったし、トリミングにも自分から進んで私の目の前に座ってくれました。


『何でそんなにシャンプーやブラッシングが好きなの?』


耳をピンと立てたマクセに、そっと呟きます。
けれど彼女はドライヤーに飾り毛を靡かせるだけで、何の反応も見せませんでした。
揺らめく茶色の被毛は、部屋のカーテンの隙間から差し込む光に照らし出されて、
時折、キラキラと輝きます・・・

ドライヤーのスイッチを切って、そっとコームで毛を梳きながら、
私は彼女の耳毛が毛玉になっていないかを確かめました。
音が止まったせいでしょうか・・・
彼女は私の方を静かに見上げて、黒い瞳に何かを映し出します。

そこにはコームを持った自分が見えました・・・






いつまでやるの?
早くしないと、また遊べなくなっちゃう・・・


マリアがピアノの前で呟きました。
大きな声で言えば、私に叱られてしまうことを知ってか、
彼女は微かな小声で小さな抵抗を見せたのです。

椅子に座ったマリアの横で私は溜息を洩らしました。
けれど、それは落胆を表現するような深いモノでは無かったのです。

数日前、私は彼女をピアノという呪縛から、
解放してあげようと思ったばかりだったから・・・

半分ほど開いたアパートの窓から、ロベルタ達の楽しそうな声が聞こえてきます。
私は腕組みをしたまま、前に屈みこんでマリアの耳元で囁きました。


髪・・・梳かしてあげるから


マリアは瞳を丸くさせて、驚いた表情で私を見つめます。


本 当 に ?


嬉しそうだった・・・
本当に嬉しそうな笑顔だったの・・・

ブラシで乱れっぱなしのマリアの髪をブラシで整え始める私。
背後から見るマリアの両肩は、落ち着きがなく上下・左右に揺れています。
それは、いかにも待ち遠しくて仕方のない様子を全身で表現しているかのよう・・・


私『マリア、動かないで・・・』


私は静かにそう言いながら彼女の髪を束ねていきます。


マリア『だってぇ〜早くしないと皆がいなくなっちゃうもん!』


いつもはそうでした・・・
私に許可を得るまで、ピアノの前から離れることができなかった彼女は、
レッスンの終わった後、誰もいなくなった公園で、いつも独りぼっちだったのです。

私『サマータイムでしょ、外は明るいし大丈夫よ・・・』

そわそわしている彼女は、私の言葉なんて耳に入らないようでした。


パチン・・・


髪止めのゴムがセットの終了の合図です。
その音と同時に彼女は私の方を振り向いて言いました。


マ マ 、 行 っ て く る ね !


煙草に火を点けて、軽く頷く私・・・
黙ったまま、静かに煙を吐き出しました。

玄関に向かって走り出すマリアに注意を促します。


私『マリア、部屋は走らない・・・それと車に気をつけて』


ピタっと立ち止った彼女は、そっと早歩きで玄関まで急ぎます。
そしてドアノブを『カチャ』と回して出て行きました・・・


再び溜息を洩らす私・・・
けれど今度は大きな溜息でした。
ピアノの前にある散らばった楽譜を一枚一枚揃えて片づけていきます。

その時・・・



マ マ 、 あ り が と ☆ ☆ ☆



声のした方向に視線を向けると、そこには半分ほど開いたドアの間から、
顔だけ出したマリアがいたのです。

照れくさかったのでしょうか・・・
けれど、それは私も一緒でした。
苦笑して軽く手を振るのが、やっとだったのです。

変な親子でた。
本当なら当たり前のような日常生活の一コマなのに、
それがギクシャクしたりしていて・・・

まあ、全て自分のせいだったのだけれど。


ドアの閉まる音が聞こえ、階段を駆け下りる足音が次第に小さくなっていきました。
私は窓から顔を出して下を見つめると、子供達がマリアを迎え入れています。
彼女は上を見上げて私に気が付くと、大きく手を振りました・・・
周りにいる子供達も、それに気づいて一斉に私の方を見上げます。

多くの子供達の視線を向けられた中で、私はそっと手を振り返したの・・・
振られた手には、さっきまでマリアが練習していた楽譜が握られていました。
恥ずかしかったけれど・・・
多くの母親は、きっとこうして送り出すんだなって思ったから・・・
マリアにも同じようにしてあげたかった。

その時ね・・・


パ ラ ・ ・ ・


楽譜の数枚が、私の手から離れてひらひらと子供達の頭上に舞って落ちていきました。

私『あ・・・!』

慌てた私は驚いて、落とした譜面を拾いに行こうと思った瞬間・・・
石畳の上の子供達は、それを嬉しそうに掴もうと右往左往していたんです。
それは、まるで大きな紙吹雪が降ってきたかのような反応でした。
あっけに取られる私・・・

そんな中で楽譜も追わずに、ポツンとこちらをマリアが見つめていました。
その表情は何故か嬉しそうだったの。

子供達が賑やかに譜面を追いかける中、私達親子は見つめ合っていました。
思わず私も口元に笑みを浮かべて、手に残った譜面を軽く左右に振って・・・
マリアの頭上に放り投げてみたの。

彼女はそれを見ながら、両手を上に上げて『わあ〜』と叫んで、
空から降ってくる沢山の譜面を受けとめようとしていました・・・

その瞳にはきっと、きっとね・・・


沢山の音符が映っていたのだと思います。




あの子・・・
キラキラしていたんだ・・・

本当にキラキラした瞳で、嬉しそうだったんだ・・・









アンドロマクセが私を見つめていました。
そこにはコームを持った私の姿が映っています・・・

シャンプーが本当に好きだったのかな・・・
ブラッシングが本当に好きだったのかな・・・


ひょっとしたら、その瞳は何かを待っているのかもしれない。
あの時のマリアのように・・・


外へ、行きたい?


本当は嫌だったの・・・
ショードッグにするために、美しく整えた被毛を外で汚してしまうのが嫌だったの。

でも、彼女が我慢をしていたとしたら?
このトリミングの後の散歩が楽しみで、『じっ』と待っていてくれたとしたら?

その期待に答えるのは、親の役目なのかもしれない・・・


歩くだけ、だよ・・・?


私はコームを静かに床に置きました。
アンドロマクセは瞳を輝かせ、クルクルって回転して『ニコ』って笑顔になったんです。
その後、フットワークを続ける彼女に言いました・・・


マクセ、部屋では走らないで・・・


きっと気が付いていたんです。
あの子とこの子に同じ事をしている自分に・・・

だから、きっと何処かで修正しなくちゃいけないことも解っていたんです。






公園に着くと、マクセは周りを見渡して私を見つめました。
私はリードを握ったまま、何も反応せずにいたの・・・
でもね、もう解ってた。
こうなることは解ってた。

言うことを何でも聞く美しいサイボーグに育てたいわけじゃないことを・・・
ただ、この子の笑顔を見たいだけだってことを・・・

解ってたから、私はお散歩のバッグに入れてきたんだもの。



そっとリードを緩めて・・・
私の手はバッグの中を弄っていたの。
その様子を見ながら彼女は、再び笑顔になった。

昨晩の雨で少々ぬかるんだ芝生の上で、アンドロマクセはフットワークを見せて、
嬉しそうに何度も何度もクルクルって回転したんです・・・

バッグから取りだした手には、赤と黄色のボールが握られていました☆☆☆



い〜い?

たった一回でも、真っ黒になっちゃうよ?




誰もいないぬかるんだ芝生の公園で、犬に向かって呟く私。
でも、それは彼女だけに発した言葉じゃなかった・・・
あの時、照れくさくて言えなかった数々の言葉を、今もう一度なぞっているの。
それでもマクセには関係ないよね・・・

今一番、したい事は、外で思いっきり遊ぶことでしょ?




ね 、 マ リ ア ・ ・ ・









誰もいない公園の中、私と彼女は見つめ合っていました。
思わず私も口元に笑みを浮かべて、手に握られたボールを軽く左右に振って・・・
アンドロマクセの頭上に放り投げてみたの。

彼女はそれを見ながら、両前脚で地面を蹴って『きゃん』と叫んで、
空から落ちてくるボールを受けとめようとしていました・・・

その瞳にはきっと、きっとね・・・


沢山の幸せが映っていたのだと思います。





あの子も・・・
キラキラしていました・・・

本当にキラキラした瞳で、嬉しそうだったんだんです・・・





戻ってきたマクセは足元が泥んこ・・・(汗)。
ぬかるんだ土が跳ねて、白かった被毛は灰色に変色していたけれど、
そんなこと、もう関係なくって・・・
嬉しそうにボールを咥えている彼女を


強 く 抱 き し め た ・ ・ ・ 


砂だらけの前脚は、私の頬に当って汚れたけれど嬉しかった。
凄く嬉しかったの・・・


だって私の娘、本当に素敵な笑顔だったんだから☆☆☆


母親って、こんな時間を沢山、沢山作ってあげるものなんだって実感したの。
そして、そんな笑顔を見ることが、何よりの幸せだって思ったの。





遅かったけれど・・・

実感できただけでも、ママ、成長したでしょ?





ね 、 サ ザ ビ ー ☆ ☆ ☆









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この記事へのコメント
Yさん、温かい時間をありがとう☆


AYAさん、サザビー、そしてマリアちゃんキラキラだね☆★☆
Posted by 白ネコ at 2010年06月03日 13:13
初めて書き込みします。先日某ラジオ番組で「愛しのサザビー」の話題を偶然聞きネットで検索してようやく「その後のサザビー」にたどり着きました。サザビーちゃん、元気そうで良かったです。まだ全ての記事を読み終えていないのですが、これから全部読んでみたいと思います。我が家にも2歳のパピヨンがいるので、このブログはとても身近に感じられます。これからも応援してますのでお兄様も肩が早く良くなりますように。
Posted by ふーまま at 2010年06月03日 13:22
羊Yさん、痛みはとの戦いお疲れ様です(ペコリン)

そして、アップありがとうございます。

羊さんが、時々サザビーの目の中を映しだしててくださる胸の内には
こうしたAYAさんの姿があったのですね。

AYAさんの文章には、いつも深い思いが溢れていて
自分の日々の慌しい生活を、フッとリセットさせてくれます。
これからも、しっかり読ませて頂きます!

でも、くれぐれも、お体無理なさらずにね。。。
Posted by ちゃあ母 at 2010年06月03日 13:52
いつも読めなかったので、とても嬉です。
(最近やっとコメントも書けるようになりました。’^^)
ペッツが来てもうすぐ1年・・保護されてきた子なので、本当にうちに来て幸せだったかなと、思ってしまいます。汗
サザビーちゃんみたいに、素敵な笑顔がもらえるようにがんばります。
羊様の痛みがはやく直りますように!!
Posted by ペッツはは at 2010年06月03日 14:33
ありがとうございます
Posted by ゆり at 2010年06月03日 14:33
お兄様、痛痛のところ、ありまとう♪
とても感慨深いです。
Ayaさんも、サザビーも、マリアちゃんも
本当に心がキレイ★☆★
あっっ、お兄様も(^^;)

早く家に帰ってアッシュとボール遊びしなくっちゃ!!
Posted by Ash★Megu at 2010年06月03日 16:37
早く家に帰りたくなりました
Posted by れぃ at 2010年06月03日 16:47
お体辛いのにありがとうございます♪

いつもいつも元気をもらってます。

兄さん感謝・感謝です!
Posted by ビッケ at 2010年06月03日 16:51
幸せな気持ちになれました☆
お兄様…ありがとう!
Posted by ケンケン at 2010年06月03日 16:56
温かい気持ちになりました。
思わず、モンブラン(パピヨン 10歳)を
ハグしちゃいました(●^o^●)
Posted by モンブラン at 2010年06月03日 17:09
当たり前の、ごくありふれたことがとっても大切なんだなと再認識しました。
Posted by Joy-stone at 2010年06月03日 17:46
ありがとうございます。。

お兄様ムリしないでくださいね。。
Posted by とも at 2010年06月03日 18:40
お世話になっております。
ただ今「しゅわッチ?クイズ」開催中!
よろしくお願い致します♪
Posted by そらッチ♪(日本スピッツ) at 2010年06月03日 21:13
「AYA GODD LUCK]に収録されている曲が
最近、某CMで流れていますね。
クラシックなんだから選曲されるのは良くある事
なんですが、多分その曲にオイラが初めて出合ったのは
「AYA・・・」が最初だった気がするので、一寸
感慨深いものがあります。

関係ない話題ですみません。
Posted by なお at 2010年06月03日 21:30
久しぶりに読むことができました。

たまりません。
Posted by あんずパパ at 2010年06月03日 22:01
お兄さんありがとうございました。
ウルウルです…
Posted by ひろ at 2010年06月03日 22:32
新参者ゆえマリアちゃんのことは悲しい結末以外殆ど知りませんでしたが、AYAさんとマリアちゃんの間に幸せな時間が流れたこともあったんだ・・・と少しホッとしました。親子ですものね。
Posted by なごみとレオン at 2010年06月03日 22:37
胸が熱くなりました。。

お兄さん素敵な時間をありがとうございます☆
Posted by そらパピ at 2010年06月03日 23:00
兄さんありがとう

今日もしっかり、子供達の瞳を見つめて、一日を大切に過ごします
Posted by 華と鈴のママ at 2010年06月04日 06:58
はじめまして。PCが使えない私ですが ある携帯サイトから愛しのサザビーに出会い 読み進めてまいりました。本もお取り寄せして今よんでます。リアルタイムに読んでなかったので^あなたに届くまで…^が読破できず残念に思ってました。短期集中掲載 続きがあるとは… そして読めるとは思わなかったので嬉しいです。
うちの子(MD♂7才)が先月緊急手術しお医者さんにも「あかんかも…」と言われましたが頑張って今は笑顔でいてくれてます。
羊様 身体が痛いのに更新ありがとうございます。
初投稿で長くなり失礼しました。
Posted by チロボン at 2010年06月04日 08:46
 
病気療養中につき・・・短期集中連載・42(後篇)